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認知症外来

● 認知症について

どんな病気?

認知症とは?

年をとると、多少のもの忘れはあるものですが、認知症はそういった加齢現象とは違い、正常だった脳の働きが低下していく疾患です。
思い出せない、憶えられない、わからない、道具や家電製品を上手く使えないなどの症状が出始め、だんだんと日常生活が上手に送れなくなってきます。
やがて徘徊やせん妄(幻覚・妄想等の意識障害)などが現れ始め、周りの人々にも影響を及ぼしはじめます。そして、「認知症」という言葉そのものは病名ではありません。そういった特有の症状の総称であり、「『認知症』のもとになる病気」があるのです。

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原因

認知症の原因

上で述べたとおり、認知症の原因となる病気は様々なものがありますが、
代表的な3つは以下のとおりです。

1) アルツハイマー病

認知症の中でも最も多い病気といわれています。
はっきりとした原因は解明されていませんが、脳細胞が急激に減り、脳が萎縮して小さくなっていく病気です。
脳が小さくなると、知的能力が失われ、場合によっては人格崩壊までもたらす場合もあります。
多くの場合はゆるやかに症状がで出はじめ、少しずつもの忘れなどが進行します。「最近の出来事はすぐに忘れるが、古いことは比較的よく覚えている」という特徴があります。
進行すると、記憶の中だけでなく自分が今いる場所や時間、人物などの認識ができなくなり、身体的機能も低下して動きが不自由になっていきます。
しかし、進行や症状には個人差があり、数年で寝たきりになる人もいる一方で、長い間自立した生活ができる人もいます。

2) 前頭側頭型変性症

脳の「前頭葉(前側部分)」と「側頭葉(横側部分)」がだんだん萎縮する病気です。
初老期の発症が多く、「若年性認知症」の原因として知られています。
大きな特徴は、「もの忘れ」より「決まった時間に同じ行動(常同行動)を繰り返す」「人の気持ちを考えないような行動を起こしてしまう」ことが多いようです。
本人は意識がしっかりしていて、記憶や認知機能の低下も少なく、人格変化の症状が目立つことから精神疾患と間違われることもあります。
また、「前頭葉」は、理性を保ったり人の気持ちを考えたりする部分なので、理性が保てずに思うように行動できない時などイライラして暴力をふるってしまうようなこともあります。

3) レビー小体病

アルツハイマー病に次いで多いといわれています。「レビー小体」とは、脳の神経細胞の中にできてしまう突然変異のことです。原因などは分かっていません。
これが大脳皮質(認知機能を操る部分)に多く広がると、最初は軽いもの忘れの症状が出ますが、早いうちから幻覚(実際は何もないのに「人がいる」「壁に虫が這っている」ように見える等)や、「1日のうちで気分の浮き沈みが激しい」などの症状が現れます。
さらに、「レビー小体」が大脳皮質ではなく脳幹に出た場合、パーキンソン病の原因となるため、レビー小体型の認知症患者にもパーキンソン病と同じ症状が現れます。
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中核症状と周辺症状

中核症状と周辺症状

認知症の症状には、本人の日常生活や行動がうまくいかなくなる「中核症状」と、それが元になって行動として現れ、周囲の人々にも影響を及ぼす「周辺症状」があります。 周辺症状は家族の負担が増大しますが、上手な対応方法や薬物加療により 周辺症状は軽減します。

代表的な中核症状

記憶障害
健常な物忘れは「ヒントを与えられると思い出す」ことに対し、認知症の記憶障害は「経験した事自体を忘れて」しまいます。
記憶障害により財布の置き場所を忘れた場合、「財布が盗まれた」という妄想(物盗られ妄想)の周辺症状に発展することがあります。
見当識障害
「今どこにいるのか」「何時ぐらいであるのか」などが分からなくなってきます。
判断力低下
認知症になると、「素早く判断する」という事が苦手になってきます。
「なんだか車の運転が危ない」「スーパーで必要なものを必要なだけ購入出来ない」等といった例があります。
言語障害
脳梗塞などの血管性認知症の場合、言語障害が現れることがあります。自分と他人とのコミュニケーションが不十分になりがちで、抑うつ状態になることが多くあります。
失行 (しっこう)
道具を上手に使えなくなります。
服をきちんと着られない、食事の際にお箸からぽろぽろこぼしてしまう、物事を行う順序がばらばらになるなどの症状が現れます。
失認 (しつにん)
視力に異常はなくても、視界にあるものが認識できなくなる状態です。自分のいる場所が分からなくなったり、物体の見分けがつかなくなってゴミ箱をトイレと間違えたり、遠近感がつかめなくなります。

代表的な周辺症状

幻覚
レビー小体病では、「壁に顔が見える」「虫が見える」といった幻覚・幻視が出現します。
夜に訴えられる事が多く、電気をつけると消えてしまう事が多いのが特徴です。
妄想
本当は違っていても、本人にとって真実であると信じ込んでいる状態です。
財布の置き場所を忘れたのにも関わらず、「財布を取られた」と思い込んでしまう事などがよくあります。
興奮
怒ってしまい、興奮している状態です。もとになる中核症状によっては暴力をふるってしまう場合もあります。
興奮症状が現れると、家族の負担がぐんと大きくなります。薬剤投与によって比較的静まりやすので、我慢を重ねずに受診されることが大事です。
不安
過剰に緊張している状態が続きます。人ごみに出かけることが負担になり、家の中に引きこもりがちになります。
うつ
初期の段階では、うつ病なのか認知症の症状(仮面認知症)なのか区別が難しい場合があります。死にたいと涙を流したり、毎日が面白くなくなって無気力になります。
異常行動
徘徊などの繰り返し行為がよく知られています。また、アルツハイマー病では先ほど食べた事を忘れてしまい、何回も食事を取り、体重が異常に増加する場合があります。
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