● 発達障害について
発達障害とは?
発達障害は先天的に脳の発達に障害があり、日常生活などに支障をきたしてしまう病気です。また、生まれつき脳の発達が通常と異なるため、ご家族でも直ぐにわかりづらいという一面があります。
普通に育児をしていても違和感を感じる程度で、ご家族が気付かれないケースも多々あります。
幼児自身が成長する過程で、「これは嫌いだ」と苦手意識を持ち、普段の生活に支障をきたすこともあります。
できるだけ早く本人の症状や特性を理解してあげ、ポジティブな生活ができるよう周りのご家族などのサポートが必要不可欠です。
発達障害の特徴
発達障害は、自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害などいくつかのタイプに分類されます。
複数のタイプを併発する子供も多く、それぞれの個人差が大きいので、簡単に「発達障害」と一括りにすることができないのが特徴です。
「自閉症スペクトラム障害」の特徴
人に対する関心が弱く、他人との関わり方が苦手な傾向にあります。また、特定のものごとやルールに強いこだわりを示し、好き嫌いが極端な傾向があります。
- 空気を読むのが苦手
- 視線があまり合わない。合ってもどこか不自然
- 同じ行動を延々と繰り返す
- 表情のバリエーションが乏しい
- 言葉遣いが不自然
- 人見知りを全くしない
- 一人遊びをすることが多い、ごっこ遊びを好まない
- 一つのことに集中しすぎて周囲が見えなくなる
- 手順や物の並べ方にこだわりがあり、いつも同じ方法でないと気が済まない、状況に合わせて柔軟に変更ができない
- 特定の物事に強い興味や情熱を持つがその範囲は狭い
- 抱っこや触られることが苦手であることや、音や光に過敏に反応するなど感覚の偏りがある
- 体の動かし方が不器用
「注意欠如・多動性障害(ADHD)」の特徴
注意欠如・多動性障害(ADHD)は、集中力がなく、常に意識が散漫状態にあるのが特徴です。
注意欠如
- ケアレスミスをしやすい
- 整理整頓ができない
- 物をなくす事が多い
- 言われたら思い出せるが、忘れがち
- 短時間集中型むしろ短い時間しか集中できない
- とてもマイペース
多動性・衝動性
- いつも手足を動かしている
- 長い時間、座っている事ができない、順番を待つことが苦手
- 話し出すと、ひとりでも喋っている(とまらない)
- 衝動的な言動
当院ではADHD治療薬「コンサータ」を処方しています。
コンサータについて「学習障害」の特徴
読む、書く、計算するといった特定のことのみができません。
全体的な知能の発達には特に問題がないのが特徴です。
「読み」
- とても読むのが遅い
- つっかえたり読み飛ばしたりする回数が多い
「書き」
- 字がとても読みづらい
- 漢字を書くのがとても苦手
- 書き間違いが多い
「計算」
- 暗算がほぼできない
- 数字の大きい、小さいがわからない
発達障害が発症する原因
「遺伝子的要因」、「環境的要因」により、脳の一部に先天的な機能障害があることが原因とされています。
親が「自分たちの育て方が間違っていたのか?」など悩むことが多く見受けられますが、その心配は必要ありません。
一昔前までは、親の育て方や愛情不足などが原因と言われている事がありましたが、発達障害を引き起こす要因やメカニズムはまだ解明されておらず、原因不明と扱われるケースがほとんどです。
発達障害の治療法
発達障害は、年齢とともに落ち着いていくことはあっても、完治させることは難しいです。しかし、発達障害とは1つの「個性」であり、周りのご家族が協力しサポートすれば、驚くべき才能を開花させることも十分にあります。
大切なのは、それぞれの発達障害の特徴をしっかりと理解することです。
具体的な治療法としては、薬物治療(脳の神経伝達物質をコントロールする)や療育(コミュニケーション能力・対人においての適応力・環境適応力を養う)、カウンセリングなどがあります。
また発達障害には併存障害として様々な精神障害(うつ病や適応障害、パーソナリティ障害など)を引き起こしてしまうことがあり、それぞれの症状に合わせた治療を行う必要があります。子供と一緒にこれからの未来を描くためにも、まずは受診ください。